最近、賃貸保証会社というものをよく聞きます。従来、賃貸は、借主さんがいて、連帯保証人さんがいて、その信頼を元に物件をお貸しするというものでした。これはずっと続いてきた、日本の賃貸の仕組みでありますが、これが今崩壊しようとしています。今、「保証会社利用必須」という物件が、大手を中心に増えています。実は、これには気をつけなければなりません。
私は、保証会社は、ご両親やご兄弟がいなくて、保証人になってくれる方がいないときに利用するものだと思っています。そういう方は大いに利用するべきだと思いますし、必要なものだと思います。しかし、管理会社の都合で必須にしているのは問題だと思います。何が問題かというと、ひとつ目に、保証人が立てられるのに必須にするということは「お客様の初期費用が増える」ということなのです。次に、入居者様というのは、仮に一度二度、家賃を滞納しても、お客様であることに変わりはありません。なのに、保証会社に連絡をして回収を頼むわけです。保証会社はどんな回収をすると思いますか。大事なお客様に消費者金融の取立てのようなことをするのは、私はやりたくありません。賃貸経営というのは「真心」ですから、私でしたら、一度二度遅れたくらいでしたら、部屋に行って「○○さんどうしたのですか?」と聞きます。これが普通なのではないでしょうか。つまり「真心」がない機械的なシステムということなのです。
そこで私が思うことは、「賃貸保証会社は、みんなを駄目にするかもしれない。」ということです。入居者さんの負担を多くすることでもあり、大家さんと借主さんの関係を悪くすることになるかもしれないということです。大家さんというのは、もともと富裕層であり、借主さんというのは持ち家がなく、家を借りなければならないという関係です。それが一度二度、家賃を滞納しただけで、そのような取立てをされたら、どのような気持ちになるでしょうか。せっかく頑張って大家さんと借主さんとの関係を縮めても、その一度の取立てで、関係は崩れてしまうのです。
また、もうひとつの「みんな」は、不動産会社です。不動産会社は、何でも保証会社に審査を委ねることによって、人を見る力が養われなくなってしまうのです。大家さんの大事な物件にふさわしい借主さんかどうかを見極めるのを、お金で保証会社に任せているのです。人を見る力を養うことを放棄していることになるのです。それは大家さんにとってもマイナスだと思います。そのような不動産会社は「弊社は、保証会社を全件必須にしているので大家さんは取りっぱぐれがなくて安心ですよ。」という言葉で営業しているのではないでしょうか。それは正しいようで、私は少し違和感を感じます。不動産会社は、人を見る目が大事ですし、大家さんと借主さんの間に入って良い関係が築けるように、橋渡しをする役割を持っていると思います。ですから、「賃貸保証会社必須」というのは考え直したほうが良いかもしれません。
弊社は、連帯保証人さんがいらっしゃる方は、それでお引き受けをしております。もちろん、その保証人さんに不安を感じれば、保証会社を使っていただく事もございます。そのような使い方が、今の時代の正しい保証会社の使い方なのではないかと思っています。こういう規定を作るのは管理会社です。それによって大家さんの経営が変わるということは十分にありえることです。やはり、「人と人」なのです。そういう気持ちを忘れずに常日頃やって行きたい、そう考えているのがきづな住宅です。